読了:裸者と裸者 上 孤児部隊の世界永久戦争
「おまえたちのことは、ぜったい、おれがまもってやる」
■お勧め度:★★★★☆
■対象者:架空戦記ものが好きで、たまには現代日本で近代戦を見てみたい方。
架空の現代日本を舞台にした戦争もの。
経済の破たんによって社会が荒廃した現代日本。そして中国で政治の混乱により日本へ逃げて来たのだが、難民が増えて治安の悪化が進み、ついには一部の国軍が首都を制圧、政府軍と対立。地方軍も参戦し内乱状態となった。マフィアが跋扈し麻薬や人身売買、窃盗、強盗、レイプ、殺人が日常的に発生する日本はもはや救いのない世界となった。
そして8年の月日が経ち、未だ内乱が続くなか、孤児となった3人兄弟は、アパートの階段の下でバロックを作り、長男海人が食堂で働き、煙草を売ったり残飯をあさる、長女の恵が家事を行い、二男の陸を育てている。
ある日、海人は武装集団化したゲリラである<加賀見部隊>に拉致され少年兵として強制的に従軍させられた。そこは力で支配する世界であった。海人は持前の機転を活かしなんとか生き延びて、逃げだす機会を探っていた。
そして、遂に<加賀見部隊>が惨敗したとき、逃げだす機会を得た。そこで長い付き合いとなる双子の月田姉妹と出会う。
裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争 (角川文庫)
著者:打海 文三 |
正直いって、この世界は胸糞悪くて嫌い。でも、小説としては、ぐいぐい引き込まれてしまう。戦争の状況もほとんど結果だけを記述されているだけで、淡々としている感じ。海人がかかわったところで生々しいという感じ。
海人の正義をなそうとしているところと、正義だけでは戦争で生き残れないので、マフィアからドラッグを奪い装備や人員を充実させ、さらに生き残る可能性をあげる、そんな悪事とも生き残るために仕方がないことに従事するというところがなんとも。
なんか、ハラハラ感は無いし、平時ならば悪事が満載なところが胸糞悪いけれど、海人たちのそれでも精一杯生き残ろうという健気(?)な所がこの小説の求心力というところでしょうか。
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